備忘録

ブラックミラー

近未来SFを舞台にしたオムニバスドラマ

イギリスで作られたオムニバス形式のドラマ。
いつかくるであろう、未来テクノロジーの抱える問題がテーマ。そのほとんどの話が風刺であったり、後味の悪さが目立ったりと視聴後色々考えさせられる。全体的な雰囲気としては海外版「世にも奇妙な物語」という感じ。
もちろんオムニバス形式ということで、エピソードによって当たり外れはあるものの、基本的にはよく練られた人間ドラマで、SFが苦手な人でも取っ付き易いと思う。一話完結で視聴することが可能なので一日の終りにさらっと観るだけでもちょうど良い。

ただシーズン1第一話目の「国家」という話だけが前述した作品全体のテーマには当てはまらず、内容的にもかなり奇作のため、初見は面食らうかもしれない。シリーズの最初に持ってくるには攻め過ぎでは、と思うものの、このエグみが結構クセになる。

以降、個人的に気に入ってるエピソード紹介。あらすじも書いているため若干ネタバレがあるから気をつけてね。

Season3-ep.4 サン・ジュニロペ

現実というレイヤーを越えた女性同士の恋愛物語

ブラックミラーの中でも珍しい、かなり前向きなエピソード。
舞台は海辺の街サン・ジュニロペ。正反対ともいえる性格の女性二人が友情を超えた感情を抱き、刺激的に過ごすガールミーツガール。しかし若々しく楽しげな雰囲気の中に度々出てくる「自分には時間がない」「介護施設」などの似つかわしくない死を連想させる単語。
じつは彼女たちの居る場所は現実の世界ではない。事故や病気で死を待つしかない人間や肉体が死んでしまった人間の意識をクラウド上に転送し共に過ごす場所、それがサン・ジュニロペの正体だ。

人間の生死の境目とは、テクノロジーの進化で変化する人間の在り方とは。
生と死の哲学・セクシャリティ・倫理観・幸せの考え方など、あらゆる事を考察させるとともに、涙無くしては観られないふたりの物語。

百合好き大歓喜。エミー賞受賞した人気作品

ユウキ
ユウキ

Season4-ep.1 宇宙船カリスター号

スタートレックを連想させる宇宙冒険VRゲームとその開発者の狂気

フルダイブ(完全没入型)VRオンラインゲーム「インフィニティ」と、その開発であるカリスター社が舞台。
このゲームの開発者ロバート・デイリーは、社内ではCTO(最高技術責任者)という地位にあるものの、内気で地味な性格をしており、他の社員たちからは下に見られている状態。しかし彼は「インフィニティ」をベースとした独自のVRゲーム空間で、自分を馬鹿にしてきたその社員たちのDNAを使ってデジタルクローンを創り出す。そして彼らをオフラインで幽閉し、思うがままに振る舞う宇宙船の船長と変貌するのだ。

VR世界と現実世界を行き来しながら展開される、開発者ロバート・デイリーの狂気。
ハラハラする物語の展開と恐怖を味わってほしい。

観る側をワクワクさせる工夫が凄い

ユウキ
ユウキ

Season4-ep.2 アークエンジェル

母親と娘の人生を狂わせてしまったマイクロチップ

マイクロチップ「アークエンジェル」。
一度体内に埋め込めば、その人間の体温・位置情報・センシティブ情報の遮断・視界モニタなど、あらゆることを管理できる。

この物語はシングルマザーのマリーと、その娘サラを中心に展開する。
幼い頃、行方不明になりかけたサラが心配で、アークエンジェルを打ち込むことにしたマリー。はじめは見守り、見守られる安心感のおかげでアークエンジェルを良い形で使用することができた。しかしその精度の高い管理システムはこの親子に良い影響だけを与えるものだけではなかった。痛烈な風刺と、親と子のもどかしくも通じ合わない気持ちを描いたエピソード。

子持ちの親だとキツい内容でもあるので注意

ユウキ
ユウキ

Netflixに登録していたら是非観てもらいたい作品

好きなエピソードは他にもあるんで気が向いたら更新しようかな。内容的に心にしこりが残るようなものが多いので、ハピエンしか勝たんマンや、心に余裕がない人には観るのをやめておいたほうが良い。逆に考察厨や、視聴後の余韻にずっぽし浸りたい人にはオススメ。
一時期めちゃくちゃハマってしまって、何度も繰り返し観ていた。吹き替えも対応しているので、作業中の垂れ流しにも持って来い。